キャップ&トレード

政府はプロジェクトチームを立ち上げ、国内排出量取引制度の検討を進めており、早ければ2013年度にも、東京都に続いて全国規模の国内排出量取引が始まるとのことです。

C&Tにおける排出枠の割り当て方法は主に3つあります。
無償割り当てでは、2つの方式があり、
まず、グランドファザリング方式は過去の排出実績に基づいて排出枠を割り当てるというもので、努力してこなかった排出者が多くの排出枠を獲得し、努力した排出者が少ない排出枠しか得られないという不公平が生じやすい。

ベンチマーク方式は業種ごとの標準的な排出原単位を基におのおのの排出枠を決定する方式。例えば、ある業種で製品を1個生産する際に排出するCO2をベンチマークと決め、それが2tとする。

実際には個々の企業で生産効率が違うので排出原単位も異なる。仮に、A社は過去の削減努力のおかげで1個当たり2tで済むが、B社は特に努力をしてこなかったために1個当たり4t排出するとしよう。A社とB社の年間生産量が100個と50個だとするとCO2排出量はともに200tで、グランドファザリング方式では同じ排出枠を与えられるケースだ。

だが、ベンチマーク方式は「ベンチマーク×生産量(活動量)」などで排出枠を決定する。つまり、A社は2t×100個で200tの排出枠を得られるが、B社は2t×50個で100tしか与えられない。過去の削減努力に見合った配分が可能になり、公平性が高まる。

一方で、すべての業種にベンチマークを設定することは難しいというデメリットもある。

有償割り当ての方式は1つで、
オークション方式。排出枠を有償で割り当てる。過去に排出量の削減を進めてきた企業は、オークションで入手する排出枠も少なくて済み、初期コスト(入札費用)を抑えられる。大量に排出する企業は、コストをかけて多くの排出枠を入手しなければならない。公平性という点では、最も優れた方法といえる。国が得たオークション収入は、環境技術の開発支援などに投資される。

しかし、初期コストが必要なオークション方式は産業界の反対が根強いため、制度導入当初から採用するのは難しいとみられる。EU-ETSにおいても、フェーズ1、2ではほとんど採用されず、2013年から始まるフェーズ3でようやく本格的に採用される予定だ。

現状では導入当初はオークション方式ではなく、ベンチマークが設定できる業種はベンチマーク方式、それ以外はグランドファザリング方式が採用される公算が大きいとのこと。

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