ALAとは

5-AminoLevulinicAcid(ALA)(5-アミノレブリン酸)の略称。
世界の人口が増加する一方、都市化や気候変動の影響を受けて耕作地は減少し、地球規模での食糧危機が懸念されています。農業の生産性を上げることは人類に課せられた急務と言えるでしょう。この生産性向上に大きな役割を果たす可能性のある物質が、コスモ石油グループが大量生産に成功した、ALA(5-アミノレブリン酸/通称アラ)です。
ALAは、すべての生物の体内に含まれるアミノ酸のひとつで、36億年前の地球に生まれ、生命の誕生にかかわったと言われています。動物の体内で酸素を運搬する血液中のヘモグロビン、植物の光合成に不可欠な葉緑素など、生体内で重要な役割を果たす化合物のもととなる物質で、外部から投与した場合にも、多様な効能が期待できます。応用分野は、疾病の治療や診断、酵素の生産や微生物の培養、植物の成長促進、光合成増強など、広範囲に及びます。
コスモ石油グループは、「環境先進企業」をめざす立場から、石油製造技術の高度化などのほか、環境浄化技術や新規技術など、多方面における研究開発を行っていますが、その中で、1980年代後半から注目し、研究に取り組んできたテーマがALAでした。
従来、ALAは化学合成法によって少量しか生産できなかったため、高価な研究用試薬としてわずかな量が流通しているに過ぎませんでした。ALAを低コストで大量に生産できれば、多方面での応用が可能となり、その優れた効能を多くの人が利用できるようになります。こうした発想からコスモ石油グループでは、光合成細菌を利用した発酵法による、ALAの大量生産方法の開発に着手しました。
初期に検討した光合成細菌は、細菌の数が多くなるとALAの生産量が頭打ちになってしまいましたが、それを解決したことが大きな転機となりました。最終的に現在の菌株を得るまでに育種した変異株の数は数万に達しました。
原料としてはブドウ糖を使い、BSE(牛海綿状脳症)などの危険を回避するため、菌の培地には動物成分を使用せず、安全性を徹底させました。さらに高純度精製方法を開発し、99%以上の純度のALAの結晶の抽出に成功、コスモ石油グループは、世界で初めて発酵法によるALAの工業的生産法を確立しました(1999年に日本生物工学会技術賞を受賞)。

コスモ石油グループでは、大量生産方法の開発と並行して、ALAの用途研究も進めました。特に注目したのが植物への効果です。

・ALAを適度に植物に投与すると葉緑素が増し、光合成能力、CO2固定能力を高めます。

・光合成能力が高まることで、野菜や果物が大きく、甘く育ちます。

・日照の弱い環境でも植物がすくすく育ちます。

・光合成によって糖がたくさんつくられることで、植物が、寒さに強く、塩分の多い土壌にも 強くなります。また、アルカリ土壌にも適応できます。

・ALAは、根っこからの栄養分摂取の速度を早めます。

これらの特色を生かすべく、コスモ石油グループが(株)誠和と共同で製品化したのが、液体肥料「ペンタキープ」シリーズです。現在、国内の農業生産者に対しては(株)誠和から販売を行っており、家庭園芸を行う一般消費者に対してはコスモ石油の子会社であるコスモ誠和アグリカルチャ(株)が販売を行っております。
コスモ石油グループでは、ペンタキープを世界の農業生産に役立てることをめざし、特に海外販売に注力しています。
オランダ、ポーランド、チェコ、ハンガリーなどで実施したテストでは、多くの作物で収穫増、品質の向上が見られ、農業生産者から高い評価をいただきました。現在ではイタリア、ドイツ、ギリシャ、スペインなどにも地域を広げ販売を進めております。特に注目される契機となったのは、2003年に開催されたオランダの農業展示会Horti Fairへの出展です。世界最大級のこの展示会で「ペンタキープ」は、テーマ賞を受賞、ヨーロッパのみならず、世界中の農業関係企業からの引き合いが相次ぎました。コスモ石油グループでは、ヨーロッパの次の市場としてアメリカや中国も視野に入れています。

コスモ石油ホームページより引用

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