東レは、成長が見込まれる海水淡水化などの「水ビジネス」の売上高を、17~18年度をめどに08年度の450億円から2倍超の1000億円に引き上げる方針を明らかにした。利益率も現在の1けたから15%に引き上げることを目指す。従来型の繊維事業を維持しつつ、水ビジネスや炭素繊維などの新技術分野も主力事業に育てる考えだ。
6月の社長就任が内定している日覚昭広副社長が明らかにした。日覚氏は05年に水処理・環境事業本部長に就任。中東などで海水淡水化プラントなどに使われる「RO膜」と呼ばれる高機能の水処理膜の開発を進めた。
世界的に水不足が懸念される中、海水の淡水化は市場拡大が期待される分野。RO膜事業は10年度に、米ダウ・ケミカルや日東電工とほぼ並ぶシェア29%に達する見込みだが、今後は操業の効率化などで、収益性の向上を図る。
米ボーイングの旅客機「B787」の主翼や胴体に使われるのが「鉄より強くて軽い」炭素繊維。09年度は事業としては赤字の見込みだが、航空機への搭載を伸ばし、早期の黒字転換を目指す。
東レは世界不況で従来の繊維関連事業が悪化し、10年3月期連結決算の最終(当期)損益が100億円の赤字の見通し。日覚新社長のもと、水ビジネスや炭素繊維などの成長分野で攻勢を強め、収益源の育成を急ぐ。
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